研究目的

光を時間・空間・スペクトルに渡り多次元に制御し、光だけで物質のメソスコピックな物性や構造を実時間で3次元的に可視化する、これを「ナノイメージング光科学」と呼ぶ。
例えば、波面を螺旋階段状に制御することで発生する光、「光渦」を用いると分子・プラズマの発光や吸収をX線に迫る高い空間分解能で自在に制御できる。したがって、「光渦」が作り出す物性制御を光学顕微鏡に応用すれば、ナノ空間反応場におけるナノ構造体創製のメカニズムなど、ナノレベルのダイナミクスを3次元的に非侵襲で実時間計測できる。すなわち、従来のX線顕微鏡や電子線顕微鏡とは一線を画する新しい光学顕微鏡が誕生する。
本研究では、多次元ナノ光制御、光機能性ナノ構造体創製、ナノ空間反応場からなる3グループを統合し、「ナノイメージング光科学」という新しい学問領域を創成するとともに、有機材料化学、半導体工学、医療工学など広範な分野での応用展開を狙う。

研究概要

研究概要概念図
本プロジェクトは3つの研究グループからなる。

研究グループ1.多次元ナノ光制御(尾松、宮本)
時間・空間・スペクトル・偏光など光パラメーターを多次元に制御し、ナノ空間を自在に制御できる光を創成する。具体的には、可視からテラヘルツまでの波長域、連続波からフェムト秒までの時間域で高出力「光渦」を発生させる。

研究グループ2.光機能性ナノ構造体(高次組織体)の創製(小林範、中村)
ナノイメージングのための発光標識、すなわち、ナノ空間で高効率に発光する光機能性ナノ構造体を創成する。具体的には、DNAをはじめとする高分子に配向分散可能で、かつ、時間・空間・スペクトル・偏光などの光パラメーターに対して優れた特性を示す希土類錯体を設計合成する。

研究グループ3.ナノ空間反応場(星野、青木)
ナノ材料が階層的に構造体へ発展するナノ空間反応場を可視化し、制御する。星野は、電気化学反応における電極/溶液界面というナノ空間反応場を可視化し制御して、金属コバルトのナノワイヤー構造体を形成する。この構造体は次世代ディスプレイなどへ応用できる。青木は、ナノワイヤーをシャドウマスクとしたナノ空間反応場を可視化し制御して、原子スケールで制御されたボウタイ型グラフェンナノリボンの階層構造を形成する。この構造体は高効率テラヘルツ素子へ展開できる。

研究グループ1・2で開発した多次元光制御によるナノイメージング技術を用いて、研究グループ3が階層的なナノ材料の反応ダイナミクスを三次元的に可視化し制御して、選択的に所望の構造体や素子を創製する。
すなわち、上記3つのグループが密に連携して、光だけで物質のメソスコピックな物性や構造を実時間で3次元的に可視化し、革新的な新機能構造体や高機能デバイスへと高次元に展開する、これが「ナノイメージング光科学」である。その研究成果は、超解像顕微分光をはじめとする理学はもちろん、新時代産業の中核となるディスプレイ、情報、医療へと幅広い波及効果が期待できる。